染師someshi

阿波藍(蒅)にこだわりその力を最大限に生かす染液を作り、自らの感性と技術で視覚化する徳島の藍染作家たち。ほとばしる想いに裏打ちされた藍模様は、実にさまざま、世界にひとつ。

近藤美佐子氏

kondo misako

近藤美佐子

藍染体験をきっかけに、阿波本藍染の魅力に引き込まれる。以来、藍染と向き合って20数年「やっと阿波藍の色にたどり着いた気がする」と言う近藤氏。「藍が光る、という感覚ですね。濁りのない澄み切った藍色にするため、色止めは一切使用せず、昔ながらの方法で染めています」。特にシルクは藍液が古くなると生地が傷むため、必ず新しい液を使って染めるなとこだわりもひとしおだ。細心の注意を払って染め上げたシルクのストールは、濃すぎず、薄すぎずの自然な藍色。「お客様に『ここの藍色が一番好き、藍の色が美しい』とおっしゃっていただいた時、本当に幸せを感じます」。

繰り返し染め重ね模様を入れる様子 「何度も何度も繰り返し染め重ね、絞っている布をゆるめたり動かしたりして模様を入れます」と近藤氏
三重織りシルクストール 徳島特選ブランドの三重織りシルクストール。濁りのない新しい藍液で染めている。

藍工房 たったー本の幸せ

〒771-4262 徳島市丈六町長尾72-9

tel:088-635-7434

fax:088-635-7435

blog
ふたあい政則はらだ氏

futaai masanori harada

ふたあい政則はらだ

ふたあい政則氏には、藍染における印象的な出会いが2つある。45年前に祖谷で見た藍染のふとんと、芹沢銈介氏の作品集だ。以来、型染めの技法に魅せられ、型彫から自身で手がけている。「型彫が完成して、新しい作品を染める時のワクワクドキドキする気持ち。やりがいを感じますね」。藍染の表現は白黒写真に例えると、ネガとポジ。型をつくる際には、どう色を入れるか(ネガ)、どこを白く残すか(ポジ)のコントラストに苦心すると言う氏が、一番こだわっているのはやはり色。「抜けるような秋空のスカイブルーが理想です」。美しい型と美しい色のベストなマッチングを求めて、型を彫り、染を続ける。

型紙を白生地の上に置きヘラで糊をのせているところ 型紙を白生地の上に置きヘラで糊をのせているところ。糊が乾燥したら藍液に浸けて染めをする型染技法。
眉山と吉野川の河口を藍の濃淡で表現した作品 眉山と吉野川の河口を藍の濃淡で表現した作品。

藍工房 ふたあい

〒779-0303 鳴門市大麻町池谷字浜田82-1

tel:088-689-1392

加藤勝蔵氏

kato katsuzo

加藤勝蔵

工房の名に「こだわり」を掲げる加藤氏には、大切にしている3つのこだわりがある。1.阿波本藍の蒅を灰汁建し藍染の美しさを求めていく。2.幾何学模様の型板染を主体に手間をかける。3.手作り服、洋品、小物類等に工夫をこらして丁寧に染める。「藍の色相は他の色素にはないあざやかさと深みがあります」と語る加藤氏は、藍の色相と染物づくりの魅カに取りつかれて十数年、夫婦で藍染に関わってきた。「私の工房は工芸品よりもお求めやすい実用品が中心。手頃な品を通じて手染の良さを知っていただき、暮らしの中で楽しんていただければと願っています」。藍をもっと生活へ。それは加藤氏4番目のこだわり。

「藍染シルクスカーフ(ゴールド)」 「藍染シルクスカーフ(ゴールド)」藍とゴールドとのグラデーションが美しい、超人気のスカーフ。シルク100%(67×180cm)金糸入。
藍染している様子 深い色合いへ、毎日が試行錯誤。

藍染工房 こだわり

〒779-3121 徳島市国府町和田字居内165-1

tel:090-5066-7047

fax:088-642-0709

林広氏 山田奈香氏

hayashi hiroshi

林広

naka yamada

山田奈香

ふとしたご縁で藍染の道を歩み、30年余り。当初より阿波藍(蒅)を使い、天然灰汁醗酵建てにこだわるルアフ代表・林氏の姿勢はいつも揺るぎない。そして藍を育む風土や自然への感謝と敬意を忘れない。その気持ちが高じて、遂に自ら貞光町に赴き、有機農法で藍の作付けも始めた。「相手(藍)は生き物。私は藍のお手伝いをしているだけ。だからいつも藍や自然に感謝しながら向き合っています」と、自身も自然体で気負いがない。そんな父の姿を見て娘(山田氏)は、5年前から同所で藍染体験の受け入れをスタートした。初心者や子ども向けとはいえ、伝統の技法を用い、本格的な藍染工程を抜かりなく伝える。「SNSを通じて、県内外から多くの問い合わせがあります。親子体験も人気です」。父と娘の連携で、未来の染師候補が誕生するかも知れない。

★藍染体験メ二ュー
ハンカチ/1,000円~(約60分)
ストール各種/2,300円~(約120分)
すべて税込。その他、ご相談に応じます。

子供が藍染している様子 小さいお子様でも自分の手で染めて、世界にひとつのオリジナル作品を。
体験用サンプル 色々なデザインの体験用サンプル。これ以外にも希望に応じたデザインで染めることができる。

藍染工房ルアフ

770-0802 徳島市吉野本町6-42「なじみ」1階

tel:088-626-0536

fax:088-626-0536

Facebook
竹内良子氏

takenouchi yoshiko

竹内良子

伝統ある藍染の世界に欠かせない要素のひとつ「継承」。受け継ぐ者の一人・竹内氏は、藍染を義母の晃子氏(県指定無形文化財)に師事し、その技術を今は次世代に伝えようとしている。「義母がつくリあげた優れた藍甕が徐々に減っている現状をどうにかしたいと、3年前に工房の再建を始めました」。その一心で、染師としての仕事だけでなく、クラウドファンディングや晃子氏の回顧展開催など、精力的に活動を行っている。「義母に藍染を通じて感動を教えてもらったことがわたしの原点」と語る竹内氏。「『手を染めずに心を染めよ』という言葉は今でも大事にしています」。技術と共に心を受け継ぎ、日々甕にむかう。

インド綿の服地 インド綿の服地(106×362cm)。菱模様とダイヤ模様の組み合わせ。夏日にも白をきかせて涼しげに見える。
タイ綿のテーブルセンター タイ綿のテーブルセンター(30×120cm)。「阿波聞道(あわきくならく)」と名付け。大好きな絣模様で、阿波の庶民の藍と日常着絣で“ホッ”とする演出を。

藍 たけのうち工房

〒771-0203 板野郡北島町中村字江口38-5

tel:080-2995-6663

Homepage
矢野藍秀氏

yano ranshu

矢野藍秀

藍秀氏の元には、国や地域を問わずたくさんの研修生が訪れる。「藍染に興味がある人、学びたいと思う人には、技のすべてをお見せしています」。いわゆる「弟子」ではない人々にも広く門戸を開き、熱心に指導する理由。それは「本藍」へのこだわり、そして誇りだ。「うちは今も化学薬品を一切使わず、江戸時代の製法を貫いています。藍の世界が多様化している今だからこそ、まずは本藍にふれて欲しいのです」。藍染に関わって35年。伝統技法ならではの色を出し続けるために、自身の健康管理も欠かさない。「これからは人を育てることにも力を注ぎたい」。本道を歩む者の自負も、まっすぐ次世代へと伝えていく。

藍住町の「地域おこし協力隊」に、藍染を教える藍秀氏 藍住町の「地域おこし協力隊」に、さまざまな技術を惜しみなく公開する藍秀氏
和服の反物 和服の反物には、独特の藍色へのこだわりがある。

有限会社 本藍染矢野工場

〒771-1253 板野郡藍住町矢上字江ノ口25-1

tel:088-692-8584

Homepage
永原レキ氏

nagahara leki

阿波藍プロデューサー
永原レキ

「阿波藍文化とサーフィンを通じた海の文化を融合させながら、衣・食・住・遊を通したモノ作り/場作りを実践したい」と語る永原氏の理念は“Think Global, Act Local"。海外勤務や異業種交流の経験を生かした独自のスタイルで藍の魅力を発信する一方、先達への敬意も忘れない。「藍商人による藍玉流通の基盤となった廻船業、船大工、林業なとを支えた『海部族』と阿波藍文化の繁がりを伝える活動も行なっています」。藍染体験にも灰汁発酵建ての本藍を使用。参加者に本物の美を伝えることを心がけている。歴史に学び、故郷の自然と文化を広く世界に伝え、新しい藍の創造へ。藍染を通じて徳島の文化発展に貢献することが目標だ。

ショップスペース 藍染サーフボードやベビーグッズなど、オリジナルアイテムを展示販売しているショップスペース。
オーシャンビューインディゴスタジオ 海陽町の空と海を眺めながら、本藍染文化を体験できるiBBのオーシャンビューインディゴスタジオ。

in Between Blues

〒775-0501 海部郡海陽町宍喰浦字松原216-3

tel:0884-70-1488

Homepage Facebook Instagram