阿波藍の製法process

葉藍とは徳島県立農林水産総合技術センター
研究員 吉原均氏

タデアイはタデ科に属する1年生の草本植物である。 徳島県では明治10~35年頃に最も広く栽培され、全国の作付面積の25~30%(1~1.5万ha)を占めた。 しかし明治中期よりインド藍が輸入され、その後インディゴピュアが開発された影響を受けて、栽培面積は急速に減少した。 平成30年度の統計で、栽培面積は16.9haとなっている。

タデアイの品種

かつては青茎小千本、赤茎小千本、百貫、小上粉など多くの品種が栽培されていたが、現在は主として小上粉が栽培されている。 なお青茎小千本は広く栽培され江戸時代から明治中期に阿波藍といえば本種をさしたというが、現在は失われている。 次頁に徳島県立農林水産総合技術支援センターで保存している11品種のうち、特徴ある3品種を解説するが、このうち千本は過去の文献に記載が無く、本来の名前かどうかは不明である。

小上粉
小上粉

葉の形は細長い。花色は淡紅色と白色のものがあり、小上粉赤花種、小上粉白花種と呼ばれる。赤花種は早生、白花種は晩生であり、白花種は現存する品種の中で最も開花期が遅い。小上粉は繁茂が旺盛で多収である反面、強い匐性のため栽培管理がやや困難である。

千本
千本

草型が立性と匍匐性の中間品種であるため、小上粉に比べ栽培管理が容易であり、機械収穫適性は高く、収量にも優れている。また、色素含有量も多い。開花期は小上粉白花種よりやや早い。葉の形は丸みを帯びており、小上粉と一見して区別できる。花色は初め薄桃で、後に赤みが強くなる。

赤茎小千本
赤茎小千本

現存する唯一の立性品種である。葉は光沢を持ち厚みがあり、葉の縁に皺のある、縮葉と呼ばれる独特の形をしている。茎はほぼ直上して生育するため、収穫などの作業性は最も良い。しかし、収量は低く色素含有量も少ない、開花期が早いという大きな欠点がある。花色は鮮紅色であり美しい。