藍の色に魅せられ、それぞれの分野、技法でていねいな仕事を続ける染師たち。 匠の技は唯一無二。生み出される製品は暮らしの中で愛される存在に。
fujimori mieko
藤森美恵子氏
美しい風合いを持ち、かつ強靭。藤森美恵子氏が藍染を施すのは、1300年の歴史を持つ阿波和紙だ。夫で県無形文化財の藤森洋一氏が漉きあげる最高級の紙を使った作品は、生活雑貨から内装・インテリアまでと幅広い。手漉和紙を家業とする藤森家では古くから和紙の藍染を行ってきた。一時は途絶えていた技術を、昭和45年頃に6代目・實氏が苦心の末に復元。近年はアーティストの写真やデッサンを大判和紙に印刷し、それを藍で染めるプロジェクトに参加するなど、新しい表現にも積極的だ。「水洗いされた和紙の藍色にこの上ない美しさを感じながら、日々美しい青を得るための努力は惜しみなく、励んでいます」。
kameda etsuko
亀田悦子氏
日常的に使ってもらえる藍染の商品をつくりたい。亀田氏がそう思い立ったのは13年前にさかのぼる。2019年にようやく形になったアイテムは、藍染の肌着やベビーウェア。「藍の持つ『薬草』としての効能、肌に優しい成分に注目し、チームで『海部藍』という独自の染料をつくるところから始めました」。藍の無農薬栽培など、安心・安全面にも留意。「お洗濯を重ねた後、監の薬能を取り戻していただくために」家庭用の染色キットも整えた。「藍を染める過程には、癒しの効果があると考えています。これからも、藍にふれ、藍を身につけることでもたらされる、健やかな暮らしを提案していきたいですね」。